犬を飼っている人にあるある話のひとつとして、犬がトイレシートの上で寝てしまうことがありませんか?
とくに仔犬期に見られることが多いでしょう。
これは、お家に仔犬から迎えたその日からトイレトレーニングを始めることがそもそもの理由です。トイレトレーニングの基本はケージのなかで覚えさせます。
ケージのなかのトイレスペースの隣にはベッドがあります。そのためまだ完全にトイレを覚えていないうちは寝床ではなくトイレで寝てしまうことも多くあるのです。犬は紙の質感が好きですから、トイレシートの上が気持ちいいのですね。
また成犬になっても、トイレシートの上で座りながら目を閉じてこっくりと眠る体勢をとる犬もいます。トイレで落ち着いている愛犬は、思わず笑ってしまう光景ですね。しかし、できることならきちんとベッドで寝てもらいたいですよね。
そこでこの記事では、犬がトイレで寝てしまう理由と対策方法について解説します。
犬がトイレで寝てしまうのはなぜか?5つの原因
犬がトイレで寝るのはなぜでしょうか。犬は冷たい床の上で直に寝るのが好きです。例えばトイレシートが床代わりであったり、もしくは冷たい床で冷えた体を落ち着かせるための避難場所としてトイレシートの上に寝る場合もあるかもしれません。
また、ベッドの大きさが合わず、体にフィットしていないのも理由のひとつにあるでしょう。他にも、トイレは落ち着く空間だという人もいるように、犬も落ち着ける場所と認識する場合もあります。
このように犬の気持ちになって、考えられる理由を5つあげていきましょう。
① 寝床を気に入っていない
犬は暗くて狭い場所が安心します。基本的に成犬になってもケージは片付けずに、そのなかにベッドを置くことで、犬が落ち着けるスペースを作ることになります。もしケージの外に、犬のベッドが置いてあったら落ち着いて寝られないかもしれません。
またケージの広さは犬の個体サイズに適切なスペースがあります。狭すぎたり広すぎたりしても、犬が休まる場所になりません。部屋のなかでも暑い場所、寒い場所、飼い主さんの気配を感じられない場所などもリラックスできないでしょう。
また仔犬の頃に買ったベッドを成犬になっても使用している場合は、サイズが小さいかもしれません。
愛犬にとって完璧なベッドを選ぶための最良の公式は、快適さ+体のサイズということを知っておきましょう。
②トイレと寝床の違いが分からない
仔犬期はとくにケージで過ごす時間が長いので、ケージ内の半分にトイレ、もう半分をベッドとして使用しているご家庭も多いのではないでしょうか。トイレとベッドの距離が近く区切りもないと、どちらか寝たいほうに自由に寝てしまいます。また、トイレを失敗したときは、トイレとベッドのにおいが同じなっていて犬が混乱してしまいます。
解決方法として、ベッドがそのまま入るプラスチックの箱やクレートを用意し、出入り口は開けたままにした状態でケージに入れてみましょう。これで、犬が好むような周囲に囲まれた暗所ができますので落ち着いて寝れるようになります。段ボールなどの紙類は犬が噛んで食べてしまう恐れがあるので注意しましょう。
③ 自分の匂いがつくので落ち着く
去勢前のオスの場合は、室内でも縄張り行動によって尿でにおいの印を残すというマーキングをすることがあります(例外として去勢したオスや避妊したメスでも自分のテリトリーをマーキングすることもあります)。
自分のにおいが付いていない、新しい家具やフカフカのソファもターゲットとなるでしょう。犬のトイレも同様で、自分のにおいがつくトイレは縄張りと判断し安心できる場所なのです。
犬にとって自分のにおいがある場所はいちばん落ち着けるので、新しいベッドのにおいに慣れるまで、おやつなどで誘導し見守ってあげることが大切です。また家のなかでのマーキングは、ストレスや不安、ホルモンの影響や性的興奮が理由の場合もあります。マーキング行動の増加につながらないようトレーニングはしっかりしましょう。
④トイレシートの感触が好き
犬は夏の時期になると、自分のベッドよりも床で寝るのが好きです。冷たくて硬い面の上にべたっと横になって開放的に寝たいと思っています。ですので、暑さに弱い動物である犬としては、ひんやりサラッとした感触のあるトイレシートの上が気持ちよく、暑さから解放されるので、くつろぐのに理想的な場所なのです。
暑い時期の犬はフカフカのベッドを用意してもそれを避けて地べたに寝たがります。
ベッドは余分な熱を抱え込むので、愛犬は熱いと感じ不快になるのです。
しかし、せっかく買った犬用ベッドはどうすればいいでしょうか。犬は一時的には気にも留めませんが、冬の寒い時期にはフカフカなベッドが気持ちよくなるので、必要なときには使うようになるでしょう。
⑤ 飼い主さんにかまってもらいたい
野生時代のオオカミは、敵に狙われないように自分の寝場所にはにおいを残さないよう、排泄・排便は外でします。現代の犬にもこの習性は残っていて、犬は自分のベッドを汚そうとはしません。
つまり、犬は往々にしてベッドとトイレの区別がついています。犬は飼い主さんにいつでも構ってもらいたいので、わざとトイレで寝る場合があります。トイレで寝てていれば、飼い主さんがベッドへ移動させてくれたり、声をかけてくれることが分かっているからです。遊んでもらいたいために、寝場所にトイレを選ぶこともあるでしょう。
トイレで寝ていたら叱っていいの?
犬にとっては、気持ちよく落ち着いた場所で寝ていたいだけ。でも場所がトイレならいつまでも黙認しているわけにはいかないですね。叱る行為は、犬がなぜ叱られたのか分からない可能性もあるので、おすすめしません。むしろ、寝ること自体を恐れてしまったら大変です。
犬の心を傷つけないように、有効な対策をしてみましょう。
トイレで寝ないための5つの対策
愛犬がトイレで寝ないように導いてあげるには、どのような対策を取ったらよいでしょうか。
ここでは愛犬に寝床で寝てもらうための、5つのポイントを解説していきます。
① 寝床の環境を変えてみる
愛犬のベッドを置く場所でいちばんいいのは、犬のお部屋であるケージのなかです。ケージの外のリビングなどに犬がくつろげるスペースを作る場合は、テレビの近くやエアコンの風が当たるところなどは避けます。
扉や廊下などの人が頻繁に通るような場所もリラックスするには不適切ですね。ゆったりできる空間のなかで、自分のリーダーである飼い主の気配を感じられる場所が犬にとっていちばん落ち着くでしょう。
犬はフワフワした柔らかいところも好きなので、タオルや使わなくなった古着などで犬用ベッドを作ってあげてもよいでしょう。
②トイレやシーツを変えてみる
オスは足を上げて排尿する傾向にあるので、L型トイレトレーを使用します。もともと寝れるほどのスペースがないタイプなので、必然的に成犬になればトイレで寝なくなるでしょう。
ポイントはメス用のトイレトレーです。三方に囲いがあるタイプのトイレもありますが、そもそも犬は囲われている場所が落ち着くため、トイレで寝るクセがつきやすくなるかもしれません。トイレがあまり居心地のよいものにならないようなタイプを選びましょう。
トイレの形が犬にフィットしすぎないように囲みがなく、平型のものがおすすめです。トイレトレーやそれに伴ったシーツのサイズを小さくするのも工夫のひとつです。犬はきれい好きですからお掃除にも気を配ってください。
③ 飼い主の匂いのするものを寝床におく
寝床に飼い主さんのにおいがするものを置いて、犬を安心させてあげることも工夫のひとつです。夏はTシャツやタオルなど、冬はフリースのズボンやセーターを犬のベッドに置けば、愛犬は最も快適な寝床だと感じるかもしれません。
洋服はやわらかくて、寝るときのよいクッションになってくれます。また安心感も与えますので、飼い主さんが家にいないときにも有効かもしれません。嗅覚は犬にとって最も重要な感覚のひとつなので、汚れた服でも、きれいな服でも、犬にとって群れのリーダーのにおいは、とても安らぐいい香りなのです。
愛犬はあなたのにおいのするものに惹かれます。あなたのにおいがついているものに抱きついたり、寝たりしたいと思うでしょう。
④ 寝床で寝たら褒めてあげる
トイレトレーニングでも同様ですが、飼い主さんの指示によってベッドで寝ることができたら思い切り褒めて上げましょう。飼い主さんに構ってもらいたい犬は、褒められることが大好きです。寝床とトイレの区別がついていない子には、先に解説したケージトレーニングをやってみて、ベッドでで寝られたらたくさん褒めてあげます。
仔犬の場合は、トイレが成功したときに大げさに褒めてあげると、トイレに行くこと自体が褒められることと勘違いしてしまうことがあります。それを逆手にとって、トイレシートの上で寝ていたら、無視をして犬には構わないというトレーニングを繰り返し行いましょう。
⑤ 寝床のトイレの匂いを消す
先に解説したように、犬はオオカミの時代から自分が寝る場所には排尿・排泄をしない習性があります。さらに犬はきれい好きです。愛犬が間違えて寝床にトイレをしてしまったときは、ベッドに自分のおしっこのにおいが残ってしまいますね。
犬は、おしっこのにおいのある場所をトイレと認識してしまうのです。つまり、トイレをしてしまったベッドでは寝ないという事態が起きてしまいます。その場合は、ベッドをきれいに洗うか、すぐに洗えない場合は犬にも安全な消臭スプレーでにおいを消してあげましょう。寝床がいつもきれいな状態であれば、犬は安心して自分のベッドで眠れます。
まとめ
トイレで寝てしまうのには、さまざまな理由があることをご理解いただけたでしょうか。
まずは、どうして愛犬がトイレで寝てしまうのかをよく観察してみて、対策をしてあげましょう。飼い主さんと犬が共に気持ちよく快適に暮らしていくためには、犬にもメリハリをもった生活をしてもらうことが大切です。
そのためにも犬自身が、自分のベッドで寝るようにトレーニングすることが必要です。覚え方も個体差があるため、いくつかのステップを踏む必要もあります。いずれにしても、一貫したトレーニングを行うことです。群れで育つ習性をもつ犬は、そもそもルールに従うことは得意なので、根気強くやってみましょう。
そして物事の善悪を区別する学びをしていきますが、それは飼い主さんの忍耐と犬へのご褒美によって犬自身の理解が深まります。
例えば、ベッドの上におやつを置いておくとトレーニングがスムーズです。
寝るという行為と、おやつが待っているという期待を結びつけることができるので、やがてベッドで寝るようになります。
犬にとって、トレーニングとご褒美が一緒であることが重要なのです。