耳垢は排泄物の一種なので、犬も人間と同様に耳垢がたまります。
しかし人間とは耳の構造が違うので、どこまで気にかけてあげるとよいのか、対処が必要なのはどんな時なのか迷いますよね。
特に犬を飼い始めたばかりの方は、「どれくらいの頻度で耳掃除が必要なのかわからない」と悩んでいるかもしれません。実は、犬の耳に異常がなければ、基本的に耳掃除は必要ありません。しかし、耳垢がたまりやすい犬種は耳掃除が必要なことがあります。
今回は、犬の正常な耳垢と注意が必要な耳垢について解説していきます。
普段の正常な状態を理解しておければ、耳のトラブルにも早期に対処できるでしょう。
犬の耳垢について詳しく知りたい方は、ぜひ今回の内容を参考にしてください。
正常な耳垢
正常な耳垢とは、一体どのような状態なのでしょうか。
正常な耳垢は、嫌な臭いがありません。
少し臭いはあるかもしれませんが、不快に感じるほどの強い臭いはないことが多いです。
また、耳垢の量も少量であれば、正常な耳垢であるといえるでしょう。
正常な耳垢かどうか確認するには、以下のことをチェックしましょう。
- 色
- 量
- 形状
色・量・形状をチェック
正常な耳垢の色は、以下の色をしています。
- 白
- 乳白色
- 薄茶色
また、形状は個人差がありますがサラサラ~多少べたつくぐらいで、臭いはほとんどありません。
もしドロッとした形状であれば、注意が必要です。
耳垢の量は、正常であれば両耳に少量だけついていることが多いです。
注意が必要な耳垢
注意が必要な耳垢は、以下の通りです。
- 黒い耳垢
- 焦げ茶色の耳垢
- 黄色い耳垢
このようにもし耳垢に異常があれば、動物病院の受診をおすすめします。
黒い耳垢
犬の耳に黒い耳垢がついている場合は、注意が必要です。
耳の中に耳ダニが繁殖していると、黒い耳垢が出ることが多いといわれています。
放置していると、耳ダニの寄生によって強いかゆみをともなうことがあります。
そして耳ダニはほかの犬に感染することがあるので、愛犬が感染している間はほかの犬に近づけない方がよいでしょう。
また、ほかの犬が感染している場合も絶対に近づいてはいけません。
定期的な耳のチェックを行うことで、もし感染しても早期に気づくことができるでしょう。
こげ茶色の耳垢
こげ茶色の耳垢も、注意が必要な耳垢の一つです。
こげ茶色の耳垢が出ると、「マラセチア真菌性外耳炎」の可能性があります。
マラセチアとは、犬の皮膚に常に存在する酵母です。
悪いものではありませんが、マラセチアの異常な増殖によって犬の耳が外耳炎になることがあります。
茶色い耳垢は不快に感じる悪臭がして、ひどくべたついていることが多いです。
マラセチア真菌性外耳炎を防ぐためには、常に犬の耳を清潔に保ってあげなければいけません。
黄色い耳垢
黄色い耳垢はドロッとしていることが多く、愛犬の耳から出てきたらとても心配になると思います。
黄色い耳垢が出てくると、耳の中で細菌感染を起こして化膿している場合が多いです。
黄色い耳垢は、ドロドロと耳だれのように流れ出てくることもあります。
また、強い不快な臭いを発しています。
黄色い耳垢は耳の中でトラブルが起こっている証拠なので、獣医師に相談しましょう。
耳の状態も同時に見ましょう
注意が必要な耳垢がみられた場合は、耳の状態も同時にみてあげましょう。
- 耳周りの毛が抜けていないか
- 耳が腫れていないか
- 耳が赤くただれていないか
- 頻繁に耳をかいていないか
耳垢に異常がある時は、これらのことを確認してあげるとよいでしょう。
耳垢がたまりやすい犬種
実は、犬種によって耳垢のたまりやすさは違います。
- 垂れ耳の犬種
- 脂漏体質の犬種
この2つの犬種は、ほかの犬種に比べて耳垢がたまりやすいでしょう。
垂れ耳や脂漏体質の犬種を飼育している飼い主さんは、定期的に耳をチェックしてあげてください。
垂れ耳の犬種
垂れ耳の犬種は、耳垢がたまりやすいです。
- シーズー
- ゴールデンレトリバー
- ミニチュアダックスフンド
- ビーグル
- トイプードル
以上が代表的な垂れ耳の犬種です。
垂れ耳の犬は、耳の形の影響で外耳道に空気が通りにくいので、通気性が悪く蒸れやすい状態になっています。
そのため、ほかの犬種と比べて耳の中が汚れやすいです。
垂れ耳の犬種は耳の中を清潔に保つために、定期的に耳の中をチェックしてあげましょう。
もし耳垢がついていれば、耳掃除をしてあげてください。
脂漏体質の犬種
脂漏体質の犬種も、耳垢がたまりやすいといわれています。
- フレンチブルドッグ
- ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
- アメリカン・コッカー
以上のような脂漏体質の犬種は、皮脂の影響で耳の中が汚れやすいです。
そのため、垂れ耳の犬と同じく定期的な耳掃除が必要になることがあります。
まずは1週間に1回程度、耳の状態をチェックしてあげるとよいでしょう。
掃除の必要性
犬の耳にはさまざまな種類があり、垂れ耳など耳垢がたまりやすい犬種もいます。
一方で、耳垢がたまりにくい耳の犬種も多いです。
すべての犬種で、定期的な耳掃除は必要なのでしょうか。
異常がなければ必要なし
基本的に、耳に異常がなければ耳掃除は必要ありません。
耳垢は、犬の体から自然に発生する油分であり、耳の中をほこりなどの汚れから守る機能も備わっています。
そして耳垢は犬の動作に合わせて自然と体外へ排出されるので、放っておいても自然と清潔な状態を保つことができます。
また、犬の耳には自浄作用があり、耳の皮膚を守っています。
耳掃除をしすぎると、耳の皮膚を守る機能が失われることがあるので注意しましょう。
耳の通気性がよい立ち耳の犬や、耳が正常な状態であれば、むやみに耳掃除をする必要はありません。
汚れがたまりやすい犬にはお手入れを
基本的に犬の耳掃除は必要ありませんが、汚れがたまりやすい犬は耳掃除が必要です。
耳掃除をする場合は、耳の奥まで掃除するのではなく、入り口付近までにしておきましょう。
耳掃除中も犬が大人しくしているとは限らないので、奥まで掃除するとケガにつながる恐れがあります。
また、耳の入り口付近を清潔に保つのは衛生的にも良いことです。
月に1回程度の頻度で、耳を湿らせた布やコットンで優しく拭き取ってあげるとよいでしょう。
特に梅雨の時期は湿度が高いので、耳の中を清潔に保つために耳掃除をしてあげましょう。
耳掃除の際は、犬用の「イヤークリーナー」を使うことをおすすめします。
使い方は、犬の耳の中に数滴ほどイヤークリーナーを垂らして、耳の付け根部分を優しく揉むだけです。
これで、汚れがたまりやすい犬種でも綺麗な耳の状態を保つことができるでしょう。
まとめ
犬の耳には自浄作用があり、もし耳垢がたまっても自然と排出されます。
そのため、基本的に犬の耳掃除は必要ないでしょう。
しかし、垂れ耳や脂漏体質など、犬種によっては耳が汚れやすく定期的な耳掃除が必要になることがあります。
もし耳掃除が必要な犬種でも、耳掃除のしすぎはよくありません。
多くても月に1回程度に抑えましょう。
それでもすぐに耳が汚れるようであれば、耳の病気が考えられます。
普段から耳垢の状態を把握していれば、耳垢の異常に気づいた時も、すぐに動物病院で診察してもらうという対処ができますね。
耳掃除や耳のチェックも、スキンシップの一部として優しく行ってあげるとよいでしょう。