犬のアレルギーは治るものなの?治療や改善、対策方法って?

飼い主にとって永遠の悩みともいえる『愛犬のアレルギー問題』。もちろん、まったくアレルギー反応を示さない犬もいますが、犬そのものはアレルギーに非常に敏感です。

一度アレルギーを発症してしまったらどのように治療をしたらいいのか、ちゃんと治るのか、そもそも対策方法はないのか不安に思うことでしょう。

また、犬のアレルギーは、特に皮膚に顕著に現れます。このことを『アレルギー性皮膚炎』と呼びます。今回は、『犬のアレルギー(アレルギー性皮膚炎)は治るのか』といったことについて執筆していきます。

是非最後までご覧ください!

1.犬のアレルギー性皮膚炎について

『アレルギー性皮膚炎』とは主にどんな症状なのでしょうか?まず、皮膚が痒くなり、名前の通り皮膚炎の症状が出ます。発症場所は皮膚炎の種類や原因によって様々です。

犬が痒がっている場合はどこを掻いているのか確認すると、原因を突き止めることができるかもしれません。炎症を起こすことで皮膚が赤くなり、この炎症が長く続くと色素沈着により皮膚が黒くなってしまったり、『苔癬化(たいせんか)』といった現象が起こります。

※苔癬化=皮膚がゾウのように分厚くなること

また、身体を掻き続けることで、毛が切れて薄くなります。体質によっては身体が脂でベタベタしたり、汗でしっとりとすることもあります。

皮膚の状態が悪くなると、皮膚に存在するブドウ球菌やマラセチア菌が増えていき、赤いブツブツや黄色のフケなどの症状が出てきます。

2.どんな症状があるの?

さて、犬のアレルギー性皮膚炎といっても原因や症状、発症場所は様々です。

犬のアレルギー性皮膚炎にはどのようなアレルギーがあるのか、一つ一つ確認していきましょう。

ノミアレルギー性皮膚炎

これは、ノミの唾液によりアレルギーになる皮膚炎です。そして、ノミが犬を刺すことを『ノミ刺咬症』といいます。

非常に強い痒みが全身に現れます。特に、尾の付け根から背中にかけて、脱毛、赤み、ブツブツが出やすいのが特徴です。

気温は18〜27℃、湿度は75〜85%が繁殖しやすいと言われており、特に梅雨前後〜冬になる前はノミが発生しやすいため、注意が必要です。

ただし、近年の温暖化傾向や家の暖房で暖かくすることによってもノミが繁殖していくため、1年を通してノミアレルギーを発症する可能性があります。

ノミアレルギーになってしまったら、1匹に刺されただけでもアレルギー反応を起こすことがあるので、強い痒みに襲われている場合は、ノミが身体から見つからなくてもテスト的に駆除していきます。

通常疥癬(つうじょうかいせん)

疥癬とは、イヌセンコウヒゼンダニ(疥癬虫)の感染による皮膚疾患であり、イヌセンコウヒゼンダニは感染した犬との接触で伝染してしまう、非常に感染力の強いダニです。

そして、この『通常疥癬』とは、ヒゼンダニの角皮や糞便などの代謝物にアレルギー反応を起こしてしまう病気のことをいい、寄生が少数でも発症します。

非常に強い痒みに襲われ、特に耳の辺縁や顔、肘や踵、腹部に、赤みやふけ、引っ掻き傷が出ることが多々あります。ヒゼンダニは少数で寄生し、皮膚検査では簡単に見つけられません。

万が一、「通常疥癬かも?」と感じたら、様々な治療を試し、原因を特定していきましょう。

マラセチア皮膚炎

マラセチアとは、正常な皮膚や耳にも常駐している酵母菌ではありますが、異様に増殖してしまうと、菌体成分や代謝物が刺激になり、炎症を起こしてしまいます。

赤み、痒み、黄色のベタついたふけ、脂っこい独特の匂いを放つなどの症状があります。特に耳、口・眼・爪周辺、肉球間、間擦部(脇や内股、陰部など、皮膚が擦れ合う部分)に発症します。

マラセチアに対して、少数の寄生でもアレルギー反応を起こし皮膚炎を発症する犬も存在し,皮膚の脂を餌にして増殖していきます。

そのため、脂の多い犬はマラセチア皮膚炎を発症しやすい傾向にあります。特に、シー・ズーは非常にマラセチア皮膚炎にかかりやすくなっています。

犬アトピー性皮膚炎

特徴的な症状を伴い、遺伝的な要因の慢性、再発生の痒みを起こす皮膚炎です。主に、環境アレルゲンに対してアレルギー反応を発症するもののことをいいます。

室内に生息するチリダニが主な原因で、そのほか花粉やカビなどといったものもアレルゲンになります。また、犬は皮膚のバリア機能が弱く、アレルゲン物質が皮膚から体内に入り込みやすいことも原因ではないかとも言われています。

多くが耳、眼・口周辺、足先、肉球間、間擦部などに発症します。生後6ヶ月〜3年頃に発症することが多いのですが、高齢な犬にも見られることもあります。

夏場の高温多湿や冬場の乾燥が原因で症状が悪化したり、花粉が原因によるものなど、季節性が存在するものもあります。掻く・舐めるから始まり、その後は皮膚の赤み、脱毛、ふけ、引っ掻き傷が見られるといった症状が出てきます。

慢性化してしまうと、皮膚が黒く分厚くなってしまいます。特に柴犬は犬アトピー性皮膚炎を起こしやすいと言われていますので、注意が必要です。

食物アレルギー

食物の成分に対して過剰に免疫反応を起こしてしまうことをいいます。パピー(仔犬)の頃から発症することが多いのですが、年齢問わず発症します。

耳、眼周辺、肉球間、間擦部に赤み、痒みが発症し、半数は下痢や嘔吐などの消化症状が見られます。季節性は基本的になく、1年を通して痒みを生じます。

食物アレルギーの診断方法は、『除去食試験』といったものを行います。除去食試験の方法は、今まで与えていた食べ物(特にタンパク質)を全て洗い出し、一度でも摂取したことのある成分を確認し、それらの成分が一切含まれていない食べ物を与え、皮膚炎の改善を試みます。

また、タンパク質に対し、犬の身体が反応できないくらいにまで加水分解した食事を使用するテストも存在します。

3.アレルギーは治るものなの?治療や改善、対策方法は?

では、犬のアレルギーは実際に治るものなのでしょうか?まず、食物アレルギーに関しては、アレルゲンとなっている食物を与えないことで改善されます。

アレルゲンとなっている食物の調べ方については上記で紹介をしていますが、心配であれば一度動物病院や専門機関にアレルギー検査について相談してみると良いでしょう。

そのほか、環境アレルゲンに反応するものは症状を緩和させるといったものになり、治療法としては投薬やサプリメント、日々のシャンプーやブラッシングなどをしていきます。

環境アレルゲンが原因のものは対策が非常に難しく、多くの場合、季節によって症状の強弱が見られるため、投薬のタイミングやそのほか対策方法など、状況に応じて臨機応変に対応できるようにしていきましょう。

4.まとめ

今回は、犬のアレルギー性皮膚炎の概要や治療や改善、対策方法についてご紹介していきました。

この世からアレルゲン物質がなくなるといったことは不可能に近いことなので、アレルギー症状があってもなくても日頃から犬の生活環境に配慮していくことが大切です。

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