犬の体調管理で、フード選びはとても大切なポイントです。
愛犬に、喜んで食べるもの、好きなものを食べさせてあげたいのが親ごころですが、好きなもの=健康に良いものとは限りません。
犬は人間と同じように、犬にも必要となる栄養素がある反面、苦手な栄養素も存在します。体が苦手とするものを与え続けることで、アレルギーや病気を発症する原因になることもあります。
食べ物に気を使うだけで避けられる疾患があるのであれば、絶対に避けてあげたいと思うでしょう。それが、食物アレルギーです。アレルゲンとなる食材の入っていないフードを選ぶだけで予防できるのが、食物アレルギーなのです。
ここでは、アレルギーになりにくいフード、アレルギーでも安心して食べられるものについてご紹介します。フード選びの参考にしてみてください。
犬のアレルギーってどんなもの?
日本人の約2人に1人が、何らかのアレルギーを持っているといわれています。残念ながら、犬にもアレルギーは存在します。
では、犬にはどのようなアレルギーはあるのでしょうか。
アレルギーの原因
犬のアレルギーは、主に次のようなものが原因になるといわれています。
- 細菌
- 真菌(カビ)
- 花粉
- ハウスダスト
- ノミやダニ
- 食べもの
「アトピー性皮膚炎」、「ノミアレルギー性皮膚炎」、「食物アレルギー」が「犬の三大アレルギー疾患」と呼ばれています。
犬がアレルギーを発症すると、次のような症状がみられます。
- 耳や体(足裏など)をかゆがる、よく舐める
- 目や皮膚が赤くなる
- 涙やけ、目やに、耳垢が増える
- 下痢をする
アレルギーによる皮膚炎では、皮膚のかゆみや赤みの症状が強くでます。
また、食物アレルギーでは、皮膚のかゆみや赤みと同時に、下痢の症状を併発します。
食物アレルギーは、食物に含まれるタンパク質が主な原因といわれ、アレルゲンになりやすい食材には、次のようなものがあります。
- 穀類(大豆、小麦、とうもろこし など)
- 肉類(牛、鶏、豚 など)
- 卵
- 乳製品
その他、食品添加物などもアレルゲンになると考えられています。
アレルギーの原因は、病院の検査で見つけることができます。
しかし、犬のアレルギーは、体質や遺伝によって起こっていたり、さまざまなアレルギーを併発していたりすることが多く、完治しづらいのが現状です。
そのため、可能な限りアレルゲンを除去して症状が出ないようにする、薬でかゆみなどの症状を抑えたりするといった対症療法がとられます。
アレルギーになりにくいフードの選び方
アレルギーのなかでも、食物アレルギーは避けてあげられる疾患です。
では、食物アレルギーになりにくいフードにはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、フードの選び方についてご紹介します。
無添加のものを選ぶ
食品添加物には、次のようなものがあります。
- 保存料
- 香料
- 着色料
- 酸化防止剤
- 発色剤
- 保湿剤
これらは、見た目や品質を保つために多くのフードで使用されています。
食品添加物は、アレルギーの原因になるだけでなく、発がん性があることも指摘されているため、このような添加物が含まれているフードはできるだけ避けたいものです。
しかし、フードの原材料として記載されていない(記載しなくても良い)添加物もあります。
そのため、フードを選ぶときは、アレルギーになりにくく、毎日安心して与えられる、無添加のものがおすすめです。
適切なタンパク質量のものを選ぶ
タンパク質は、犬の体を構成する成分の約20%を占めています。
骨格や筋肉、臓器、血液を作り、免疫やホルモンに影響する、健康に過ごすために必須の栄養素です。
犬のフードの栄養基準は、「AAFCO(全米飼料検査官協会)」、「FEDIAF(欧州ペットフード工業会連合)」という2つの世界的な団体から示されていて、多くのフードがこの基準に従っています。
これらの団体は、犬が健康に過ごすために必要なタンパク質の量として、100gあたりの含有量を次のように定めています。
団体 | 成犬 | 子犬 | 母犬 |
---|---|---|---|
AAFCO(全米飼料検査官協会) | 18%以上 | 22.5%以上 | 22.5%以上 |
FEDIAF(欧州ペットフード工業会連合) | 18%以上 | 25%以上(14週未満) 20%以上(14週以上) | 25%以上 |
タンパク質は健康に必要な栄養素ですが、取りすぎると肥満になってしまったり、腎臓や肝臓に負担をかけてしまったりして、かえって病気の原因になることがあります。
また、植物性タンパク質の1つの小麦タンパク(グルテン)がアレルギーの原因になることもあります。
食物アレルギーにならないためにも、栄養素や原材料がきちんと記載されているフード、基準に合っているフードを選びましょう。
グレインフリーのものを選ぶ
タンパク質には、「動物性」と「植物性」のものがあります。
どうしても、植物性のタンパク質の方が便秘や肥満を防ぐことができて安心と思いがちです。
しかし、肉食動物である犬にとって、小麦やとうもろこしなどの穀物に含まれる植物性タンパク質は胃腸に負担が大きく、動物性タンパク質の方が消化・吸収しやすいといわれています。
そこでおすすめなのが、グレインフリーのフードです。
グレインフリーとは、犬が消化しにくい穀物(小麦、とうもろこし、米などの穀物全般)を全く使用していないものです。
胃腸の負担を減らすだけでなく、穀物アレルギーの発生を抑えられるので、安心して与えられます。
オメガ3を含むものを選ぶ
動物性タンパク質は、肉や魚から取ることができます。
ただし、牛肉や豚肉に含まれる飽和脂肪酸が皮膚の炎症を悪化させることがあるので、アレルギーが出ているときは、牛肉や豚肉は避けましょう。
このようなときは、不飽和脂肪酸が含まれる鹿肉や馬肉、またはサーモンなどの魚で動物性タンパク質を取るとよいでしょう。
鹿、馬肉、サーモンに含まれる不飽和脂肪酸には、皮膚の炎症を押させる成分の「オメガ3必須脂肪酸」が含まれているので、アレルギーが出ていても安心です。
また、オメガ3は、免疫力を上げる効果もあるといわれています。皮膚の炎症を防ぐだけでなく、免疫力を上げてアレルギーの改善も期待できるオメガ3を含むフードを積極的に取り入れましょう。
アレルギーになりにくい食べ物は?
犬がアレルギーになりにくい食べ物として、ラム肉、馬肉、鹿肉、魚、じゃがいもなどが知られています。さらに、最近では、「新奇タンパク質」と呼ばれる食材がアレルギーによいとして注目されています。
新奇タンパク質は、食べたことがないタンパク質のこと。体に入れたことのない新しいタンパク質に変えることで、食物アレルギーの症状を減らすことができます。
新奇タンパク質には、次のようなものがあります。
- カンガルー
- うさぎ
- うずら
- ダチョウ
- ダック
- ターキー
その他、虫、カエルやワニなども新奇タンパク質といわれています。
アレルギーがある子には、新奇タンパク質のようなアレルギーになりにくい食材を選んであげるとよいでしょう。
まとめ
犬のアレルギー症状として最も多いのがかゆみです。
犬は、かゆみを我慢することができないため、患部を舐めてしまったり、搔き壊してしまったりすることで、症状をさらに悪化させてしまうことがあります。
そんなつらい症状をさせないためにも、アレルギーになりにくい環境を整えてあげることがとても大切です。
特に、食物アレルギーは、飼い主が避けてあげられるアレルギーです。毎日食べるフードやおやつに気を使ってあげるだけで防ぐことができるのです。
また、今はアレルギーがなくても、常に同じ食材を食べていると、それがアレルギー源になることもあります。
フードはたまに変えてあげたり、いくつか食材の違うフードをローテーションしてあげたりすることで、アレルギーが出るのを防ぐことができます。
可愛い愛犬のため、「無添加」、「グレインフリー」、「タンパク質」、「オメガ3」をポイントに、アレルギーにならず、安心して与えられるフードを選びましょう。