「愛犬の去勢手術を勧められたけど、本当に必要?」
「手術をした後に後悔したらどうしよう……」
愛犬の去勢手術を考えている飼い主さんは、このような悩みを抱えている方が多いのではないでしょうか。
初めて迎えた愛犬は、かわいいだけの存在ではありません。愛犬も、大事な家族の一員です。
愛犬の一生をどのようなものにしたいかを考えることは、飼い主さんの責任でもあります。
「こうすればよかった……」と後悔しないで、愛犬と一緒に楽しい時間を過ごしたいものです。
本記事では、去勢手術を受けさせるかどうか迷っている飼い主さんに向けて、どちらを選択しても後悔しないためにできることをまとめました。
後悔しない選択をするために、ぜひ参考にしてください。
去勢手術とは?
去勢手術とは、外科的な処置で犬の精巣を取り除く手術です。
犬に全身麻酔をかけて、精巣付近の皮膚を切開して取り除きます。
メスの避妊手術とは異なり、去勢手術はお腹を切開しないので、避妊手術よりも犬への負担が少ないといえます。
去勢手術の基本的な流れは、以下の通りです。
1.術前検査
2.全身麻酔
3.手術
4.術後管理
5.退院・抜糸
去勢手術についてはこちらの記事で解説しているので、詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
犬の去勢手術って何?手術の内容と目的【初めての飼い主さん向け】
去勢手術のメリット
去勢手術を行うにはさまざまなリスクがありますが、もちろんメリットもあります。
どのようなメリットがあるのかを知り、ぜひ去勢手術の検討材料にしてください。
発情にともなうストレスの軽減
去勢手術を受けることで、発情にともなうストレスを軽減することが可能です。
オスの犬には発情期はありませんが、オスはヒート中のメスのにおいに反応して発情します。
もし繁殖させるならば問題はありませんが、繁殖の予定がなく発情しても交尾ができない状況は、犬にとって大きなストレスになります。
もし何年も去勢手術をしないのであれば、犬にとっても辛い状況が続くでしょう。
しかし、去勢手術によって、犬の男性ホルモンの分泌を抑えることができます。
男性ホルモンの分泌を抑えることで、オスの犬特有の交尾欲やほかの犬に対する攻撃性、縄張り本能などさまざまなストレスを軽減することが可能です。
発情期の問題行動が抑えられる
去勢手術を受けることで、発情期の問題行動を抑えることができます。
オスの犬の発情期には、主に以下のような問題行動が起こります。
・吠える
・マーキング
・マウンティング
・メスの犬を追いかける
・脱走する
発情期によるこれらの問題行動は、しつけで対応できるものではありません。
ひどい場合には、飼い主と犬のどちらにとってもストレスの元になる可能性があります。
しかし、去勢手術を受けると男性ホルモンの分泌がなくなるので、問題行動の抑制が期待できます。
マーキングやマウンティングなどの問題行動が減り、犬の性格も落ち着くので、飼い主にとっても発情期の生活が楽になるでしょう。
シニア期の病気を防げる
去勢手術を受けると、生殖器が原因となる病気を予防できます。
オスの犬はシニア期になると、生殖器に関わる病気を発症するリスクが高くなります。
生殖器に関わる病気とは、以下のような病気です。
・会陰ヘルニア
・前立腺肥大
・肛門周囲腺腫
これらの病気は、男性ホルモンが悪影響を及ぼして発症する病気です。
去勢手術で男性ホルモンの分泌が抑えられるので、生殖器系に関わる病気を予防することができるでしょう。
去勢手術をすることのデメリット
去勢手術には、さまざまなメリットがありました。
しかし、去勢手術はメリットだけではなくデメリットもあります。
去勢手術の良い面だけではなく、悪い面も知ってから手術を検討しましょう。
太りやすくなる
去勢手術を受けると、犬は太りやすくなります。
去勢手術によって、生殖機能を維持するためのエネルギー消費が行われなくなります。
また、男性ホルモンの分泌も抑えられるので、代謝が落ちてしまうのです。
エネルギー消費が減り、さらに代謝が落ちることによって、犬が太りやすくなることがあります。
そのため、去勢手術後は食事量を管理したり、運動量をコントロールする必要があるでしょう。
全身麻酔のリスク
去勢手術の際に行う全身麻酔は、リスクをともないます。
残念なことですが、全身麻酔や手術中の事故が起こる可能性はゼロではありません。
可能性は少ないとはいえ、犬にとって危険がともなうことも事実です。
そのため、リスクを少しでも抑えるための術前検査や、犬の体調管理はしっかりと行う必要があります。
犬の持病や年齢によってもリスクは違いますので、獣医師と相談して愛犬のリスクを把握しておくとよいでしょう。
後悔しないためにできること
愛犬の大切な体にメスを入れる去勢手術。
愛犬の負担を考えると、後悔のない選択をしてあげたいですよね。
では、後悔しない選択をするためには、飼い主は一体どのようなことができるのでしょうか。
信頼できる獣医師を選ぶ
愛犬のために、信頼できる獣医師を選ぶようにしましょう。
去勢手術を受ける、受けないに関わらず、かかりつけの動物病院では愛犬の一生を見てもらうことになります。
たとえ口コミで評判が良くても、自分や愛犬には合わないこともあります。
いくつか候補の動物病院を見つけて、電話などで納得できる応対をしてもらえるかどうかを基準にするとよいでしょう。
動物病院を選ぶ際は、インターネットなどで情報を集めて、候補をいくつかに絞り込むことをおすすめします。
去勢手術とはどのような手術なのか、手術後はどのようなケアをするのかなど、納得できるまで説明を受けるようにします。
そして、気になることはどんなに些細なことでも相談しましょう。
愛犬の体調管理
去勢手術を受ける場合、手術前・手術後の体調管理は飼い主がしっかり行う必要があります。
特に手術後は、全身麻酔や手術自体の負担から、犬はすぐに普段通りには動けません。
運動量のコントロールや、食事の量を調節するなどのケアが必要です。
また、手術前には術前検査がありますが、検査をクリアするためにも犬の体調を整えなければいけません。
もし手術前に気になることや不安なことがあれば、些細なことでも獣医師に伝えましょう。
愛犬の前で不安な顔をしない
愛犬は、意外と飼い主さんの様子を見ています。できるだけ愛犬の前では不安な顔をしない方がよいでしょう。
慣れない動物病院や手術の環境は、犬にとっては大きなストレスです。
そのうえ飼い主さんが不安な顔をしていては、飼い主さんの緊張が愛犬に伝わり、さらに緊張してしまうでしょう。
手術の前はできるだけ不安な顔を見せないように意識して、愛犬を安心させてあげましょう。
まとめ
去勢手術の選択を後悔しないためにできることや、去勢手術のメリット・デメリットをまとめました。
オスの犬を飼うと、一度は動物病院で去勢手術を勧められるでしょう。
もし繁殖を望まないのであれば、病気の予防や問題行動の抑制を考えて、去勢手術を受けることをおすすめします。
しかし、去勢手術にはメリットだけではなく、デメリットがあることも事実です。
愛犬のことを考えると、メリットがあることはわかっていても、なかなか決断するのは難しいかもしれません。
後悔しないために、まずは信頼できる獣医師を見つけて相談してみましょう。
動物病院では犬の健康状態に合わせて診断してもらえるので、最も信頼できる判断材料になります。
愛犬の今後のライフスタイルを考えて、後悔しない判断をしましょう。